恥骨骨折が疑われる症状と3つの原因!ズキズキした痛みに要注意!

恥骨骨折が疑われる症状と3つの原因!ズキズキした痛みに要注意!

女性


恥骨は漢字の文字が表すように他人に相談しづらい箇所ではないでしょうか。

それにもかかわらず痛みがあるし、歩きづらいという症状が出てきて悩みのタネとなる事もあります。

そこでこの記事では恥骨骨折で見られる症状と骨折の原因について解説いたします。

骨盤の構造

骨盤


骨盤は背骨の延長である仙骨と尾骨、仙骨の両脇にくっついている腸骨、そして腸骨には左右それぞれ恥骨と坐骨がくっついて形成されており、上から見ると内側が丸い形を描いています。

この中で恥骨は骨盤の前方を構成しており、左右の恥骨が結合している部分(恥骨結合)の裏には膀胱があります。


男性の場合は恥骨の前を精管(精巣から精子を運ぶ管)が通っています。

骨盤の中には大腸、膀胱、尿道、子宮、卵巣、卵管、膣といった臓器があり、また、下腸間膜動脈や内腸骨動脈といった太い血管も走行しています。

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恥骨を骨折する原因

足や腕の骨折などはよく聞きますし、実際に経験をしたことがある人も多い方思います。

しかし、恥骨を骨折するとなるといったいどの様な原因があるのでしょうか?

以下に、代表的な3つの原因をご紹介します。

原因1 事故

自動車事故や落下事故により、落ち方次第では恥骨が折れてしまいます。

事故のときの衝撃が大きければ大きいほど骨盤の損傷は激しく、臓器損傷や血管損傷に伴い大量の出血が見られショック状態に陥ってしまうこともあります。

原因2 スポーツ外傷

近年話題に上がることの多いラグビーなど、ボディコンタクトの激しいスポーツでも恥骨骨折が生じる可能性があります。



関連記事:かかとの疲労骨折の原因と症状を解説!治療法も気になる!

原因3 骨粗鬆症

原因1、2については受動的な対策(安全運転や無理をしないなど)しかできませんが、骨粗鬆症によるものに関しては様々な方法で予防することができます。

骨粗鬆症が問題となるのは女性であることが多いです。

なぜかというと、女性は閉経に伴い女性ホルモンのバランスが崩れてしまいます。


骨は古くなった骨を壊す破骨細胞と、新しく骨を作る骨芽細胞によって骨の量が安定していますが、エストロゲンが減少すると破骨細胞の働きが強まってしまい、骨芽細胞による骨新生骨がスカスカの状態になってしまいます。

このことによって骨折のリスクが高まります。


腰の骨(腰椎)の圧迫骨折(身体の重みによって骨が潰れてしまう)や太ももの骨(大腿骨)の骨折がよく取り上げられますが、恥骨も骨折しやすい状態になってしまいます。

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恥骨骨折の症状と治療

骨折自体による激痛もあるものの、恥骨骨折では疼痛(ズキズキ痛む)も起こり、この痛みにより歩くことが難しくなったり運動麻痺を起こすことがあります。


また、骨盤の構造の項でも述べたように骨盤内には重要な臓器がたくさんあります。

例えば膀胱や尿道が損傷されてしまうと血尿が起こったり、排尿に関係している神経が傷ついてしまうと排尿障害が出たりと様々な症状が現れます。

恥骨骨折による症状の中でも最も重篤なものは骨盤内出血です。

内腸骨動脈などの太い血管が傷ついて出血してしまうと2000ccもの血液がお腹の中に出てしまいます。


人間の総血液量は体重が60kgの人で4.6L(4600cc)であり、人は全血液の3分の1を失うと危機的な状況に陥ってしまう(2分の1では死に至る)ので、骨盤骨折がいかに重篤な状態か分かっていただけるでしょう。


骨盤骨折による出血の症状はいわゆるショック状態です。

「悲しい出来事があってショック」ということではなく、血圧が下がって身体の各組織に酸素や栄養を送ることができなくなっている状態で、日本語に直すと末梢循環障害(末梢循環不全)といいます。


典型的な症状としては5P’sと言われており、顔面蒼白(Pallor)、虚脱(Prostration)、冷汗(Perspiration)、脈拍触知不可(Pulseless)、呼吸不全(Pulmonary insufficiency)の5つの症状が見られることが多いです。


これらの症状が見られるのは出血性ショックにおいては総血液量の3分の1を失った状態で、重症な恥骨骨折では容易に起こりえます。

血圧


少しヒビが入った位のものであればそれほど出血はひどくなく、出血した代わりに血管内に水が組織から流入するためショックというよりは貧血状態になります。

貧血をチェックするにはあっかんべーをして下瞼の色を見ます。

正常では血液が血管内に充満し赤くなっていますが、貧血を起こしている場合には白くなっています。


恥骨骨折の治療は骨粗鬆症性の骨折など骨折部位が比較的安定している場合は鎮痛剤やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を服用して安静にします。


しかし、長期間安静にしていると筋力が低下したり筋肉が固くなってしまうので1周間程度で歩行器を用いた歩行訓練が開始されます。

また、骨折がひどい場合や骨盤内臓器が損傷している場合には手術が行われ、骨折部位の安定のために創外固定器を用いて骨を元の状態に固定したり、出血に対しては動脈内に詰め物をして、出血を止める動脈塞栓術という手術が行われたりします。


また、外傷は防ぎようがありませんが、骨粗鬆症によるものは普段からカルシウムを含む食品(牛乳、チーズ、小魚など)を積極的に摂取したり、ビタミン類(ビタミンD、C、K)を取り入れましょう。



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まとめ

いかがだったでしょうか。

多くの方は骨粗鬆症の結果、恥骨骨折を起こすことが多いです。

いつのまにか骨折という言葉もあるくらいですので、骨折したことに気づかず「なんか痛い」と感じながら過ごしている方もいらっしゃいます。

上記の症状が出始めたら(整形)外科を受診することをおすすめします。



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