同じ下腹部の痛みでも女性と男性では違う原因があるの??
下腹部とは範囲が広い腹部の中で臍より下を意味します。下腹部痛があった場合に痛みを表現すると、「チクチク」とか「ギュー」などの痛みを感じられた方が多いと思います。
痛みの違いは病気を特定する情報のひとつですが、痛みの感じ方や強さは個人差もあることから有効な情報ではないことが多いです。診断には痛みが出現した時期やきっかけ、痛みの持続性が重要になります。
病気として男女の違いを言うと、性別による罹患率もありますが、基本的には性器の違いによるものです。ここでは下腹部痛がある病気をご紹介し、男女の違いや症状について詳しくお伝えします。
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目次
女性特有の下腹部痛
➀子宮筋腫
子宮体部にできる良性の腫瘍です。卵巣ホルモンの作用に影響し、閉経することで筋腫は小さくなります。女性特有の病気であり、頻度は月経がある女性の20~30%の確率で見られます。子宮筋腫の悪性化は極めて稀であることが特徴です。症状としては月経の量が多く(過多月経)、月経時に下腹部痛があります。また筋腫が大きくなるにつれて下腹部に腫瘤として触れることがあります。腫瘤が大きくなると膀胱や尿管を圧迫するため、トイレが近くなることもあります。
➁子宮内膜症
本来、子宮内腔にしかない子宮内膜が、子宮以外の場所にできる病気です。月経のある女性の10%に子宮内膜症があると言われております。症状は下腹部痛、月経時血便があります。
➂子宮外妊娠
子宮以外の場所に受精卵を着床するものを言います。子宮外妊娠の中で最も多いのは卵管妊娠です。卵管妊娠は卵管内に着床しますが、発育と伴に卵管壁の破壊侵食によって卵管流産や卵管破裂を引き起こします。症状としては軽度の下腹部痛があります。やがて卵管破裂時となると性器出血と下腹部の激痛、急性の貧血症状が出現します。命の危険もあり、早期に手術が必要となる病気です。
➃流産
妊娠22週未満の中絶であり、切迫流産や稽留流産など経過の違いにより分類が多いです。症状としては下腹部痛と性器出血があります。妊娠初期は下腹部痛と性器出血が次第に増強し、症状がピークとなった時に胎児組織の子宮外排出が起きます。妊娠後期は下腹部痛が陣痛様になる特徴があります。
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男女共用の下腹部痛・・・泌尿器
➀膀胱炎
細菌性と非細菌性に分類され、非細菌性としてはウイルス性膀胱炎、間質性膀胱炎などがあります。細菌性膀胱炎が最も多く、女性に多いことも特徴です。この理由は膀胱炎の感染経路にあり、通常は尿の出口から尿管、そして膀胱の順に感染していきます。男性はペニスがあるため、尿の出口から膀胱までは女性よりも距離があります。この距離により男性は尿道炎に留まることがあるためです。
症状は下腹部痛以外に頻尿と排尿痛、尿の混濁があります。
➁尿管結石症
尿路に結石が形成されること病気ですが、その結石が尿管に停滞した状態をいいます。これは男性の罹患率が高い病気で、症状としては下腹部及び局部の疼痛や血尿、排尿困難を生じます。男女共用の下腹部痛・・・消化器
➀急性虫垂炎
よく「盲腸」と呼ばれる病気であり、正しくは盲腸ではなく、虫垂の化膿性炎症のことです。男女間の差がなく、比較的若年層に発症する病気です。症状として痛みがみぞおち(心窩部)から始まり右下腹部へ移動する特徴があり、痛みの性質は右下腹部を強く押すと強まり、急に離すと激痛となります。他に悪心・嘔吐もあり、症状だけで鑑別することが比較的容易な病気です。
➁腸管感染症
老若男女を問わず発症する病気で、誰もが一度は経験をされている病気だと思います。大半は下痢を伴うことが多く、中でも「しぶり腹」は非常につらい症状です。このしぶり腹は、腹痛と便意が頻回に出現しますが、便がでない状態のことをいい、原因は肛門括約筋が炎症により「けいれん」しているためです。
男性特有の下腹部痛・・・前立腺
➀前立腺炎
細菌性、非細菌性とあり、どちらかというと非細菌性が多いと言われております。症状としては下腹部の鈍痛と残尿感や頻尿、排尿痛がありますが、急性細菌性前立腺炎は下腹部痛よりも発熱と頻尿などの尿路症状が主症状となります。まとめ
下腹部痛がある病気は、臓器の種類以上に存在します。男女の差としては尿路の病気に罹患率の差があります。下腹部痛はその範囲がゆえに病気を特定するにも難しい症状ですが、どの病気も下腹部痛以外の併発症状があります。実はこの併発症状が病気を特定するポイントなのです。
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