ふくらはぎを押すとへこむ原因は?戻らない場合に気を付ける病気は?
気がついたらふくらはぎがパンパンに膨れていて、マッサージでもしようと指で押してみると指の跡が残っているということはないでしょうか。
この症状は「圧痕浮腫」と呼ばれるもので、大きな病気のサインであるかもしれません。
そこでこの記事では、ふくらはぎを指で押したときに凹みが戻らない原因についてご紹介します。
浮腫とは
浮腫というのは、一般的に「むくみ」といわれているもので、組織中に水分が溜まってしまっている状態のことを言います。血管から血液中の水分が滲み出してしまって、浮腫を形成することが多いです。
浮腫のうち、指で押した跡がなかなか消えないものを「圧痕浮腫」、すぐに跡が消えるものを「非圧痕浮腫」といいます。
歩くことのできる人の場合、重力に従って脚に水が移動するため、浮腫は脚に出やすいです。
その他にもまぶたが重い、手足がだるい、ものが握りにくいなどの症状が見られることもあり、これらに加えてそれぞれ元々の病気の症状が見られます。
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圧痕浮腫と血漿浸透圧
血液中の水分のことを血漿(けっしょう)といいます。そして血液中にはタンパク質など様々な成分が溶け込んでいて、その濃度が低いほど血液中から水分が組織中にしみ出しやすくなります。
この状態を「血漿浸透圧が低い」と表現します。
圧痕浮腫ではまさに血漿浸透圧が低下していたり、血管内の圧力が高まって、こし取るように血漿が組織にしみ出していくというようなことが起こっています。
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心不全
心不全は心臓がうまく機能していない状態の総称です。
大元の原因としては心筋梗塞や弁の狭窄などがありますが、簡潔にまとめると心臓が血液を送り出せない状態です。
心臓からの血液量が少ないということは、全身に栄養を運ぶことができないので、歩く時に疲れやすかったり、ひどい場合は何もしていないのにゼイゼイしてしまうというような症状が見られます。
また、心臓から血液が出ていかないので心臓へ血液が入っていかず、脚などの静脈に血液が溜まってしまい、圧力が高くなることで血管外に水分が出てしまいます。
これがふくらはぎの浮腫につながっていきます。
心不全への対症療法として、身体に溜まっている水分を外に出すような薬を投与したりします。
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腎性浮腫
「腎性」とは、腎臓に原因があるという意味です。すなわち、本来は尿を作って体外に水分を排出する役割を持つ腎臓が、腎炎や腎不全などの原因により機能低下をきたした状態です。
ひどくなると腎不全となります。
生活習慣病として広く知られている糖尿病では、ネフローゼ症候群という腎臓の病気になることがあり、この病気では血液中の水分が組織に滲み出していきやすい状態になります。
この場合は血液中の水分量が著しく低下している場合が多く、利尿薬(尿を排泄するように働く薬)の中でもサイアザイド系と呼ばれるものなどの投与が行われます。
肝硬変
肝炎や肝硬変ではアルブミンというタンパク質の産生が低下し、血漿浸透圧が低下していきます。
また、肝硬変ではアルドステロンというホルモンの濃度が上昇していて、尿の排泄を妨げるような機構が働いているので、この働きを抑制するようなループ利尿薬というお薬や、抗利尿ホルモンの作用をブロックする薬もよく使われます。
肝硬変では特にC型肝炎からの移行が多く、輸血を受けたことがあるかどうかも重要な診断材料になります。
それはかつて輸血血液のずさんな検査によって、C型肝炎ウイルスの入った血液を輸血してしまっていたという歴史があるためです。
現在は非常に厳しい検査が行われているので、このようなことは滅多に起こりませんが、100%無いとは言い切れないので医者に質問されたら確実に回答しましょう。
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薬剤性
薬の副作用によって圧痕浮腫が見られる場合もあります。主な薬剤としてはベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬、アシクロビル、シクロフォスファミド、シクロスポリン、ステロイド、エストロゲン、プロゲステロン、イブプロフェンなどがありますが、いずれも良く使われている薬剤です。
医者はこれらを承知で処方箋を書いているので、気になる場合は相談すると良いでしょう。
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まとめ
いかがだったでしょうか。皆さんが聞いたことのある病気の名前などもあったことと思います。
糖尿病や心筋梗塞などは近年の食生活の欧米化に伴い増加してきており、特に気をつけていきたい疾患群になります。
対策としては炭水化物や脂肪分を控えめにした食事を心がけ、定期的にウォーキングなどのスポーツを行うことが1番です。
スポーツをする時間が取れないという方は1駅~2駅分の距離を歩いて通勤・通学してみたり、移動手段を自転車に変えてみるなどの対策が考えられます。
このことにより脳梗塞なども発症する確率を下げることができるのでぜひ取り組みましょう。
また、薬剤性の浮腫についてはイブプロフェンなど市販薬に含まれているものもあります。
病院に相談しに行く際には飲んでいる薬のパッケージなどを持参していくと、より正確に診断することができるので、覚えておくと良いでしょう。